ginger

wine愛好家 ワインに関する有資格はなし
女医
27歳頃より、すばらしい経験と知識を持つワイン愛好家と出会い、以後ワインに目覚める。もっとも愛するワインはフランスブルゴーニュ地方のワインであるが、最近はその枠にとらわれず種々のワインにトライしている。自身も専門家ではないが、専門家でないからこそのワインの感動を、少しでも多くの人と共有できたらと考えている。

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JEAN GROS Richebourg 1974

先日、素晴らしい造り手による、神に愛されたこれまた素晴らしい畑のワインを飲んだ。ワイン友達と集う時、各自でワインを持ち寄る事がしばしばある。テーマを決める事もあるし、思い思いのものを持ち寄る事もあるし、手軽な会、ちょっと背伸びした会、様々なシュチュエーションがある。
この日は、私が軸となって私の大切な人達を、各々の友人に紹介する日だった。だから、そんな特別な時間には、その時間にふさわしい特別なワインを選びたかった。そこで私が選んだのがこのワインである。 前稿にも書いたが、ワインは、単なる飲み物ではないと私は思っている。えも言われぬ感動を呼び起こすものであり、人の想いをつなぐ素晴らしいツールであり、人生をきらめかせるスペシャルな魔法である。
ジャン・グロという造り手は、今もブルゴーニュで活躍するグロ三兄弟(ミッシェル・グロ、ベルナール・グロ、アンヌ・フランソワー・グロ)の伝説の父である。
そしてリシュブールという畑は、ブルゴーニュの中でも格別な畑の一つである。リシュブールの特徴としてよく言われるのが、華麗であり力強くしっかりとした骨格を持つワインだと言われる。
ヴィンテージとしてはけして良年とは言えない1974年。
42年という歳月にワインがどのような時間を経過したか、ある程度信頼の置ける出処であっても、こればかりは全てを図りしることはできない。 緊張の一瞬。慎重に風が開けられる。造り手の技量にも大きく影響される事が多いのが、ワインの面白いところだと思うが、このリシュブールは、まさに厳かでいて美しく重厚だった。おどろくべき事に、まだまだ力強く、本領を発揮するまで数刻を要した。でも、全く閉じているわけではなく、徐々に溢れる官能的なピノ・ノワールの香りに、待ち時間さえも心が弾む。実際に開いてみれば、重厚で濃厚な熟した果実たちと可憐なスミレの花から妖艶な大輪のバラの花、そしてなめした皮にコーヒー豆のいい香り。溶けきってはいないもののタンニンは近寄り易く、酸もその他の素晴らしい要素に調和していた。私が思い浮かべるのは、宝塚のきらびやかながらも、クールで美しい男役。女性的な妖艶さを兼ね揃える究極美である。余計な化粧をせず、その畑の持つ素晴らしさを最大限に引き出している、これぞ伝説と言われるジャングロと言う匠の為す技なのだと思う。この日の友人たちの持ち寄ったワインも、まさに記憶に残る素晴らしいものばかりだった。素晴らしい時間を共有したという一体感、ワインに対する想いや、ワインを感じる感性が似ていると思える安堵感に包まれた1日となった。これから先も、彼らは私にとってのかけがえのない伴侶で居続けてくれるのであろう。