からだを守るヌチグスイ~石垣島薬草の旅 ~vol.1

沖縄には「ヌチグスイ」(命薬)という言葉があります。
直訳すると「ヌチ」は「命」、「グスイ」とは「薬」という意味ですが、病院や薬局などで買う薬とは違います。
「命の薬」とは、例えば美味しい料理、人を元気にしてくれる、体によい食べ物のことや、人の優しさ、家族の愛情など…。心の中が暖かくなって癒されるような出来事をさす言葉で、そこには豊かな自然や人の愛情といった心と体に沁みわたるものすべてが含まれています。
その中で薬草やハーブは、「ヌチグサ」(命草)と呼ばれ人々は古くから身の回りにある植物の恩恵を受けて暮らしてきました。
そんな沖縄のヌチグサ(薬草)に触れ、生活との関わりを学びたいという思いのもと、夏休みを利用して、沖縄県・石垣島へ行ってきました。


まずは島を一周していると、色々な植物が目に飛び込んできます。
サトウキビ、マングローブ、パパイヤ、島バナナ、クワズイモなど、青々とした大きな植物がモリモリと島全体に広がっています。島に自生していた薬草をいくつか紹介します。
島の岩場にしっかりと根を張った琉球ヨモギの姿がありました。キク科の植物で、松葉のような細長い葉が琉球ヨモギです。既に実を結んだものもありましたが、写真のような若い芽が緑のポンポンのようにあちこちに顔を覗かせていました。琉球ヨモギは“ハママーチ”と呼ばれ、薬草ブームに採り尽くされた地域もあるそうで、野生では見られなくなってきてるそうです。そんな薬草の群生にいきなり出会えて運がよかったです!
さて、こちらの琉球ヨモギは、全草を煎じて利尿、解熱作用、肝障害、黄疸、胆石症などに用いられます。また独特のさわやかな香りから、生でサラダのトッピングにしたり、魚料理に利用されます。




こちらは、月桃(げっとう)  たわわに実がなっていました。
月桃はショウガ科の植物で“サンニン”と呼ばれます。光沢のある大きな笹のような葉をしています。春から夏に、桃まんじゅうのような白くて先がピンク色の花を咲かせ、その後巾着のような実を結び、中に沢山の種を抱えます。花も実もとても可愛らしいです。実の色は黄緑色から、黄色、橙色、赤色と変化していきます。
葉や種は、お茶として親しまれており、抗菌効果があり、また消化器をあたためて胃腸の働きをよくしてくれます。また痰切りにも使われます。昔は、葉を食器代わりに使っていたそうで、これは月桃の防腐作用を自然と利用してきたのでしょう。今でも島の料理屋さんでは、料理の下に敷かれています。
この月桃は、島のあちこちに広く自生していていました。



こちらは、ヒハツモドキ。コショウ科の木本性つる植物です。
八重山諸島(石垣島を中心とした島々)では主に“ピパーツ”や“ピパーチ”と呼ばれる事が多く、八重山そばには欠かせない香辛料(島胡椒)です。
独特の香りは人によっては松茸のようだと言われるそうです。
体を温め、余分な水分を取り除き、血のめぐりをよくするので、風邪の頭痛、関節痛、腰痛、腹痛や、胃のむかつき、消化不良の改善などの薬効をもつといわれます。
実は乾燥させて粉にして島胡椒に加工されます。八重山そばのお店に往くと、この島胡椒の瓶がテーブルに置かれていて薬味として使われます。葉は若いものを摘んで天ぷらにしたり、炊き込みごはんに混ぜたりして、香りを楽しむことができます。
私もすっかりピパーツの虜になってしまい、苗を買って帰りました。来年の夏に実ってくれるでしょうか、楽しみにしています。



こちらは、ボタンボウフウ。セリ科の海辺に自生する植物です。
長命草(ちょうめいぐさ)の呼び名の方が馴染みがあるかもしれません。島では“サクナ”や“チョーミーグサ”と呼ばれます。【一株食べれば、一日長く生きられる】と言われることから、長寿の薬草として利用されてきました。
主に咳止め、風邪による熱に用いられてきました。豚のレバーと一緒に煮たお汁“チムシンジ”は、風邪や疲労のときに食べる煎じ汁で、滋養に良いそうです。
また、魚の食あたりを防ぐために、刺身のツマとして利用されてきました。
近年では、豊富な栄養成分に着目され美容のためのサプリメントや、健康食品としての利用が高まっています。


所変われば品変わると言うように、島ならではの呼び名があったり、普段出会えない、沖縄・石垣島ならではの薬草に出会えた旅でした。歩けばあちこちにある薬草に目が止まります。ここに紹介しきれないくらい色んなものがあります。どれも、潮風と燦々と降りそそぐ太陽の陽に当たり、力強さにあふれていました。
石垣島では、自生したものも沢山ありますが、野菜と同じように販売されていたり、家庭ですぐに利用できるように畑や庭で栽培しており、薬草と人との距離がとても近くに感じられました。また、薬草を取り入れた料理提供する飲食店も多く、お茶や調味料、お菓子、麺類、化粧品などさまざまな加工も盛んにされています。薬草が伝承され利用されている、私にとって理想的な環境でした。自然が守られ、この文化が続くことを願うと同時に、薬草の素晴らしさを伝えていきたいと再確認できました。

次回は、島で味わったヌチグサ料理を紹介します🎶




あや

フードコーディネーター
管理栄養士、料理教室講師を経て、独立。
食品メーカー、飲食店等のカタログ・広告写真の
料理作成、レシピ考案、料理教室などを中心に活躍。
自然豊かな地で生まれ育ち、幼少の頃から
父とともにみかん作りなどの山仕事をしたり、
母や祖母に料理を仕込んでもらいました。
薬草料理、発酵食品、仕込みものを作る
幸せな時間をお伝えします。

▼▼よろしければシェアお願いします▼▼

▼▼よろしければフォローお願いします▼▼

うつくしき BLOG

運営:一般社団法人日本腸美人協会

0コメント

  • 1000 / 1000