「なんで日本のパンはこんなに柔らかいのか?」
いま、私は農薬の使用を減らしていくため、オーガニックの普及に取り組んでいるのですが、植木屋でありながら、食の問題について関心を持ち始めたそもそものきっかけは、この疑問からなのです。
異国の文化に触れて、あらためて日本の特徴を知るという経験は誰にでもあることでしょう。中でも食べ物の違いというのは、海外旅行で得られる印象の大きな割合を占めるのではないでしょうか?
給食の食パンに代表されるようなフニャっとした食感のパンは、欧米豪、アジア各国どこにもありませんでした。(アフリカ、南米は未経験)
社会人になるまで、高級なパン屋に入ったことすら無かった私にとって、パンといえば食パン、菓子パンが標準であり、フランスパンのバゲットぐらいは食べたことがありましたが、なんだか嚙みちぎりにくくて好みではありませんでした。
その後、いろんな国のパンを食べ比べるようになり、次第にずっしりもっちりした歯ごたえのあるパンが好きになっていったのです。
そんな時に出会った感動的なパンが「ブルーメの丘」の石窯で焼かれたカンパーニュでした。(ブルーメの丘は滋賀県日野町に1997年開業、ドイツの田舎町と農業をテーマにした農業公園)
パンはオーブンで焼くものだと思っていた私には衝撃的で、当たり前といえば当たり前ですが、「薪窯でパンが焼ける」「いつかこんなパンを自分で焼ければ楽しいだろうな〜」と、妄想がふくらみ始めたのでした。
そして2001年、出身地である京都を離れ、滋賀県の高島市に引っ越してほどなく、知り合いの陶芸家さんの庭に石窯を作る機会に恵まれました。
同好の士とパン焼きを楽しもうということになり、「石窯パンを主として窯焼料理や野外料理、手づくり食品などを楽しむ会(略称:石窯会)」を結成したのです。
予想した以上の会員が集まりました。
当時はSNSもなく、案内状や会報の郵送費、なんやかんや材料費などの運営資金を得るため、イベントへの出店というアイデアが浮かんだのですが、移動式の石窯は重すぎます。そこで、図書館にあった本を参考にドラム缶の窯を作ることにしました。
初めての出店は「おっきん!椋川」というイベントでした。(2008年)
「おっきん」は関西弁の「おおきに」が変化したもので、山間地の農村で毎年11月に開かれる収穫祭は京阪神からのリピーターも多く、今年で14回目を迎える人気のイベントです。
予行演習に焼いた「黒米ピザ」の出来ばえも上々。高温でパリッと焼き上げるピザの味は格別です。
ドラム缶ピザは回を重ねるごとに「おっきん!椋川」の名物となっていきました。
好評を博したドラム缶窯は、PTAの行事にも借り出されるようになり、親子でピザを作って楽しむという、食育だけでなく、火の扱いを知る体験学習として発展していきます。
ここまでドラム缶が一人歩きして活躍してくれると、発案者としては嬉しいかぎりです。
パンが、いつのまにかピザに変わってしまいましたが、手づくりの「食」を通して何かを感じとっていただければ幸いです。
どうでしょう。あなたも自家製ピザ、焼いてみませんか!
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